マンションの保険の改訂と注意点

2022年10月1日マンション保険値上げ

大手損害保険各社は、2022年10月から火災保険料を11~13%程度引き上げます。マンション保険は災害の多発に伴って値上げが続いており、2000年以降で最大の値上げ幅となります。引き上げ率はあくまでも平均であり都道府県、建物の構造、築年数、補償内容などで大きく保険料が違ってきます。

マンション保険は、築年数別料率が適用されるため、同じ規模のマンションであっても、築年数が経過しているマンションの方が保険料が高くなります。そのため5年前に比べ保険料が2倍になることは珍しいことではありません。管理費の支出削減のためにも以下のような具体的な対策をご検討ください。

① 2022年9月中に保険を切り替える(改定後と改定前の保険料比較)
② 保険金額、補償内容を見なおす (付保割合、免責額、個人賠償等)
③ 複数の保険会社で比較検討する
事故件数(保険金受取件数)も保険料に影響

マンション保険は、保険始期日から6ヶ月遡った2年間(保険会社によっては1年間)の事故件数によって保険料が変わってきます。中途更改の場合も同様です。最大57%の割引から25%の割増の設定があるなど割引制度(割増)は保険会社により様々です。場合によっては、途中更改することより、事故件数のカウントが増え保険料が上がってしまうことも考えられます。

保険料の値上げだけではなく、保険金受取情報を管理・チェックし、事故件数など総合的に考えることによって負担保険料を減らすことが可能となります。

個人賠償責任保険特約を考える

区分所有者・賃借人の日常生活に起因する偶然な事故により他人の身体や財物に損害をあたえた結果、法律上の賠償責任を負った場合に保険金を支払う補償です。基本的に、管理組合ではなく、区分所有者・賃借人が負うべき賠償責任ですが、マンションでは床下配管等からの漏水事故や、ついうっかりの保険事故が多くあります。

誰しも「被害者になるリスク」「加害者になるリスク」があるため、円滑なマンションライフを送るためには最低限の補償を管理組合で準備していることが望ましいと思います。ただ、昨今の保険料の値上がりもあり、「原因を作った当事者が被害者に賠償するのが当然」という考えから個人賠償保険を特約から外して保険料の削減を検討する管理組合がみられます。

但し、マンション保険の保険金支払いの約30%は個人賠償(主に漏水)というデーターもあり個人賠償の補償を外すことによりトラブルも増えてきています。保険料だけに目を向けるのではなく想定されるリスクやトラブルを十分理解したうえでご検討ください。

株式会社フォルテシモ ファイナンシャルプランナー 有田 祐輔 氏