| 福岡市城南区に「長期優良住宅(マンション)」第1号誕生!! |
| 西日本鉄道株式会社は、福岡市城南区別府4丁目に鉄筋コンクリート造地上7階建41戸の分譲マンション「ブライト・サンリヤン別府シールズ」(以下「サンリヤン別府」と略称します。)を建設中で、平成23年2月下旬に入居予定です。 これだけでは、他の分譲マンションと変わりないようですが、実は住宅建築史上に残る建物なのです。 |
![]() |
|
「作っては壊す」時代からの転換のシンボル |
| 日本の住宅政策は変わりました。今までの「作っては壊す」スクラップ・アンド・ビルドの時代から、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会への移行が始まっています。 住宅を長く使うことにより住宅の解体に伴う廃棄物の排出を抑制し、環境への負荷を低減するとともに、建替え費用を削減して、国民の住宅に対する負担を軽減し、より豊かで、より優しい暮らしをしていただこうとの趣旨です。 その推進のために、「長期優良住宅法」が制定され、平成21年6月4日から施行されました。この法律で長期優良住宅建築等計画の認定制度が設けられています。 住宅が、長期優良住宅と認定されるためには、次に述べるようにいろいろと難しい条件がありますが、サンリヤン別府はこの認定を受けました。そうして、平成23年2月に竣工し入居が開始されます。 これは、マンションの認定長期優良住宅で最も早い竣工であり、「作っては壊す」時代からの転換のシンボルとして、歴史に残る建物です。 |
| 構造躯体は100年程度保たせること − 厳しい認定基準をクリア − |
| 長期優良住宅として認定されるためには、次の条件を満たす必要があります。 |
| 1.劣化対策・・・・ |
数世代にわたり、住宅の構造躯体(鉄筋やコンクリート部分)が使用できること。通常想定される維持管理条件下で、構造躯体の使用継続期間が少なくとも100年程度となること。その措置として鉄筋コンクリートのセメントに対する水の比率(水/セメント比)を低減するか、鉄筋に対するコンクリートのかぶりを厚くすること。 |
| 2.耐震性・・・・・ | 極めてまれに発生する地震に対し、継続利用するための改修が容易に行えるよう、損傷の程度の低減を図ること。地震に対する耐力は、建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しないこと。 |
| 3.維持管理・・・・ | 更新の容易性 構造駆体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること。 |
| 4.可変性・・・・・ | 居住者のライフスタイルの変化等に応じて、間取り変更が可能な措置が講じられていること。将来の間取り変更に応じて、配管、配線のために必要な躯体天井高を確保すること。 |
| 5.バリアフリー性・ | 将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスぺースが確保されていること。共用廊下及び共用階段の幅員、勾配等、エレベーターの開口幅等について必要なスペースを確保すること。 |
| 6.省エネルギー性・ | 必要な断熱性能等の省エネルギー改修が確保されていること。省エネ法に規定する平成11年省エネルギー基準に適合すること。 |
| 7.居住環境・・・・ | 良好な景観の形成、その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和が図られること。 |
| 8.住戸面積・・・・ | 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。 【共同住宅等】55m2(2人世帯の一般型誘導居住面積水準) |
| 9.維持保全計画・・ | 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。維持保全計画に記載すべき項目については、(1)構造耐力上主要な部分、(2)雨水の浸入を防止する部分、(3)給水・排水の設備について、点検の時期・内容を定めること。少なくとも10年ごとに点検を実施すること。 |
| サンリヤン別府を見学しました |
| 平成22年11月22日、工事がほぼ終わりかけているサンリヤン別府を、福管連杉本理事長他希望者が見学をさせていただきました。「長期優良住宅認定基準」をクリアしているかどうかを重点に説明をしていただき、見学を致しました。 まず、目についたのは、バルコニーや開放廊下の腰壁にシックな赤レンガが使用されていることです。単なるデザインではなく、剥落する心配のないメンテナンスフリーのレンガにしたとのことです。 長期優良住宅認定対応として、地震対策では通常の1.25倍の耐震等級2としており、学校や病院などと同じレベルです。建物躯体を構成するコンクリートは、約65年〜100年の耐久性が認められた2700〜3000トンの耐久設計基準とし、また、水/セメントの比率も50%以下に抑えています。 さらに、鉄筋を覆うコンクリートの「かぶり厚」は、劣化等級3の基準よりさらに2cm厚くし、最大7cmのかぶり厚を確保しています。 |
|
| サッシのガラスは、2枚のガラスの間に乾燥空気層を設けた「複層ガラス」を採用して、断熱性を高め冷暖房の効果を確保し、結露の発生を少なくしています。また、外壁も外気に接する面には断熱材を採用し、断熱性確保と結露を押さえています。 一般的なマンションでは専有部分の隅にパイプシャフトがあり、配管が収められていますが、ここでは、共用設備の縦配管は共用廊下とバルコニーに移し、専有部分の横配管は、間仕切り壁の床下を通っていますから、水まわり設備を含めた間取りを自由に変更できるようになっていました。 |
![]() |
| 50年間は足場を設置しての大規模修繕を行わない |
| マンションの維持管理については、50年間は足場を設置しての大規模修繕を行わないことにしているとのことです。タイルで仕上げた側面の壁(妻壁)の中間的な点検や補修は、ゴンドラで行えるような構造や補強をしています。屋上の屋根は、通常15年〜20年で再防水が必要となりますが、ここでは、二重に防水をして、25年には上層の補修を、50年後に取替えを目標にしています。 南面のサッシは、コンクリートに埋め込まずに、溶接部を切断して、取り外し、位置の変更をできるようにして、部屋の間取りの変更にも対応しています。 |
| 100年にわたる長期修繕計画 |
| 長期修繕計画は拝見できませんでしたが、100年間を想定した改修計画を基本に、50年間の長期修繕計画を作っているとのことです。50年で区切ったのは、社会経済の変化や建築技術の進歩に合わせた見直しをする必要があるからとの趣旨です。 竣工後の点検は、1年、2年、5年、10年目に行い、11年目以降は、10年ごとに行い、新しい技術を採用しているため、あらかじめ定められた点検マニュアルに沿って実施します。 ◇ ◇ 以上が見学の報告ですが、このようなマンションを適切に維持管理するためには、現行の「管理組合方式」に加え、専門家が分担する仕組みが必要ではないかと感じました。 また、長期優良住宅認定基準は、現時点では非常に厳しい基準ですが、今後10年〜20年経過しますと、この基準が通常の基準となり、既存のマンションも大規模改修時点でこの基準へのレベルアップが必要となる可能性もあります。 |
|
|
| Copyright(C)2010 PICT. All rights reserved. |