増える管理組合内部紛争とその対処

(有)三井一征事務所代表 三井一征氏は、マンション学第24号に発表された「管理組合内部での紛争の諸形態と解決の手がかり・序論」という論文の中で「管理組合の内部紛争が増加傾向にあるが、これは「輪番制理事会」に関係がある。

 管理組合の内部紛争は組合の機能麻痺となり、マンションが直面する危機である。」と述べておられますが、まさにそのとおりです。

 輪番制では、マンション管理に不慣れな者が役員に就任することが多く、組合運営に不手際が生じます。それを追求する組合員が現れ、内部紛争となるのです。 

 ▼内部紛争の事例

三井氏は、次のような内部紛争の事例を挙げておられます。
  1. ある団地では、組合員の一部が「○○の会」と いうグループをつくり、理事会を傍聴して翌朝には理事の一部の発言を捉えて批判・攻撃のビラを全戸に配布、戸別訪問による署名運動、度重なる閲覧請求等を行い、これに対して、輪番制の理事は効果的な反撃ができず、遂にグループのメンバーが理事会の多数派を占めるにいたりました。

  2. 管理会社名義の管理員室を組合が譲り受けることになったために、理事会は管理組合の法人化を計画しましたが、従来からボス的存在であった組合員とそれに同調する2人が反対運動を起こし、戸別訪問をして賛成派を恫喝、総会では議長の制止を振り切って長時間演説をして、遂に流会に持ち込みました。その後、法人化を推進した役員の何人かは嫌気がさして転出しました。

  3. 理事会で理事長の縁故業者を管理会社とすることを決め、現在の管理会社を解約しようとしましたが、現管理会社を支持するグループは別の理事会を結成して紛争が生じました。相当年月経過後、事態収拾のための臨時総会が開催され、どちらのグループにも入っていない組合員を役員に選任、競争方式による管理会社の選定が決議されて、ようやく正常化に進み始めました。  

 ▼今後の管理運営

 これらの紛争事例を読みますと、今までの善意と信頼を基調とした管理運営は通用しなくなったのではとの疑問が生じます。

 しかし、原点に戻りますと、区分所有法は、もともとプロ管理者による管理を前提とした法律です。そこにアマチュアが関与しているところに混乱の原因があります。

 将来は、法律の見直しも必要でしょう。さしむきは、帳票閲覧請求、理事会傍聴、議長権限、役員2年任期半数交替制、役員倫理、法的措置の活用等を紛争防止の立場から管理規約に取り入れることです。

 また、常時専門家の応援や知恵を借りることができる体制の確立や役員の自己研修も欠かせません。

 福管連では、善意の組合員間や理事会との紛争については、本年4月から施行される「裁判外紛争解決手続(ADR)」を導入できないか検討しています。


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