「構造計算瑕疵マンション」で建替え費用等
9億3千万円の損害賠償請求


― 福岡県篠栗町の管理組合 販売業者等を提訴 ―
 福岡県篠栗町にある「エイルヴィラツィンコートシティ門松駅前ウエストサイド管理組合(管理者)」(地上9階建て42戸)は、11月22日、販売業者や建設業者、設計事務所などに対して、マンションに数多くの漏水やクラックが発生したのは設計の誤り、施工のミス等が原因であるとして、建替え費用等約9億2千8百万円の損害賠償請求訴訟を福岡地方裁判所に起こしました。

 訴状によりますと、訴えられたのは、販売業者の作州商事株式会社(福岡市博多区)、建設会社の香椎建設株式会社(福岡市東区)、設計監理会社の株式会社ニューアート建築設計事務所(福岡市早良区)と構造計算や確認申請・工事監理を担当した建築士2名です。

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 このマンションは、平成11年4月から入居を開始しましたが、5月に共用廊下から漏水が発生、天井にクラックが見つかりました。業者は補修を行いましたが、その後も別の廊下や屋上に漏水が発生しました。そのほかにも、駐車場の陥没、ドアの開閉不良等数多くの不具合が発生しました。そうして、補修をしてもすぐに漏水が再発し、外壁にもクラックや白華現象が発生しました。

 管理組合は、自らの費用で外部機関にコンクリート強度、中性化試験、床スラブ厚、ひび割れ、レベル測定、梁の鉄筋探知の調査を依頼しました。その結果、床スラブの厚さが設計上180mmとなっているのが不足している、床や梁に沈下がある、多数のひび割れがある等の問題点が判明しました。

構造計算書の瑕疵

 原告の主張によりますと、マンションの構造計算で荷重計算を所定の建物荷重の82%で計算しているなど6項目に誤りがあるとの問題点を指摘しています。そうして、構造計算を再計算すると、応力度が許容応力度を超えている、水平耐力が必要保有水平耐力を充たしていない、小梁・床スラブ等の2次部材で応力度が許容応力度を超えている、ひび割れ対策、たわみ対策がとられていないなどの瑕疵があると指摘しています。

責 任 問 題

 販売会社作州商事は、売主として瑕疵担保責任、建設会社香椎建設は、床スラブが許容変形量以上に変形しないように注意すべき義務があるのに怠り、スラブに多数の有害なひび割れを生じさせたので2割の過失責任、ニューアート建築設計事務所は、使用人である建築士が行った設計・監理業務の過失についての使用者行為責任、2名の建築士は、それぞれの業務において注意義務を怠った不法行為責任を負うとしているものです。

そうして、本マンションは広範囲に瑕疵があり、補修工事に要する費用は建築費用をはるかに超えるので、マンションを一度解体し、建替える以外方法はないとして、建替え費用、代替住居費用、調査費用、慰謝料、弁護士費用合計9億2千8百万円の損害賠償と遅延損害金の支払を求めているものです。

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 この訴訟は構造問題にメスをいれている点で姉歯事件を髣髴させるものです。


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