| 第1.事案の概要 |
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- 原告X1、X2、X3は、平成13年3月から11月にかけて、札幌市内の中心部に位置する15階建のマンション(以下「本件マンション」)を被告Y1から購入した。
- 被告Y1は、マンションを建築することを業とする株式会社であり、被告Y2は、Y1が建築したマンションを販売することを業とする株式会社である。
- 原告らは、Y2の営業社員から眺望が素晴らしく、豊平川の花火も見えるなどと、熱心な説明、勧誘を受けた。
原告のうちには、高層階からのパノラマ写真やビデオカメラ撮影した眺望の画像を見せられた者もいた。
X1は、当初、価格の安い4階の購入を申し込んだが、13階が空いたと言われ、13階に変更した。
X2は、当時所有していた築6年のマンションを早く処分して、本件マンション14階を購入することを決めた。X3は、当初8階の購入を決めていたが、これを取りやめ、14階を購入することを決めた。
- Y1は、平成13年8月頃から本件マンションの南側約60メートルの場所に新マンションの敷地を取得して、建築することを検討し始めた。
Y1は、平成13年12月に本社の決済を得たが、地権者側の事情で敷地の売買、引渡は平成14年3月となった。
- Y1は、平成14年7月、新マンションの工事説明会を開催し、原告ら本件マンション入居者に対し、同月上旬着工、平成15年12月完成の予定で、15階建のマンションを新築する旨、説明した。
入居者の多くからは、Y1が同じ階数、高さのマンションを建てることについて、疑問や不満が述べられ、7月から8月にかけて4回の交渉が重ねられた。しかし、Y1は、計画を見直す考えがないことを表明し、新築工事に着手した。
- やむなく、平成15年3月、入居者のうちX1、X2、X3の3名がY1、Y2を相手取り、札幌地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。
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原告らの主張の骨子は、眺望をセールスポイントとして、それなりの価格で高層階の分譲、販売を行った被告らが、みずから眺望を害するようなマンションを建築、販売をすることは信義に反するという点にあった。
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第2.裁判所の判断
判決の要旨は、以下のとおりである。 |
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- 被告のパンフレットからは、本件マンションが都心部にありながら、高層階からの眺望が良好であることをセールスポイントにしていたと認められる。
高層階にいくほど高額の価格が設定されており、都心の利便性だけでは説明できない。
価格差は、日照、防犯、騒音、通風の面での利点のほか、眺望が良いことも重要な要素と考えられる。
- 原告らは、退職金を費やし、あるいは経済的負担の増加を負いながら、階下から変更して高層階の購入をしており、その動機は高層階からの眺望に重さがあり、販売担当者はそうした動機も十分理解していた。
- 原告らとの契約を締結する段階では、新マンション建築の計画を説明することは不可能であり、被告らに説明義務違反はない。従って、Y2は、損害賠償責任を負わない。
しかし、Y1は、本件マンションを建築し、Y2ともども販売を進めた者として、原告らに対し、信義則上、その眺望を害しないよう配慮する義務がある。
- 眺望の阻害により時価の差額が発生することは容易に予測できるところではあるが、本件の証拠からその客観的時価の差額を正確に算出することは困難である。
従って、こうした経済的損失は、慰藉料で斟酌するのが相当である。
- 高層階の価格には眺望以外の要素も含まれており、新マンションによってこれらの要素が阻害されたとはいえない。また、新マンションによって眺望が全く阻害されたとまではいえない。
よって、本件マンションの価格表中、「11階との価格差」欄の価格差の半分程度の慰藉料を認めるのが相当である。
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| 第3.補 足 |
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- 判決は、マンションの建築、販売にあたり事業者は購入者に対し、守るべき信義があり、これに違反した場合は損害賠償責任を負うこともあることを指摘した。
本件はマスコミによって広く報道されたことから、同じ様な問題を抱える、マンション購入者、管理組合など、全国から問い合わせがあった。
- 判決は、慰藉料を算定するに際し、「11階との価格差」を基準としているが、これは本件マンションのすぐ隣りに11階建のマンションが既に存在していたことから、11階の区分建物の価格には眺望の要素が含まれていないと判断したと考えられる。
- 原告らは、判決を評価するものの、Y2の責任を問わないとした点、賠償額が低額である点について、更に裁判所の判断を求め、札幌高等裁判所に控訴した。
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