ペット飼育と管理規約

管理規約違反者に対する措置
規約に飼育の禁止規定がある場合には、規約に違反する行為をすることが直ちに共同利益背反行為(法第6条第1項)となりますから、具体的な実害の発生の有無を問わず、差し止め等の請求(法第57条など)が可能です。さらに実害の程度等によっては、違反者たる区分所有者の専有部分の使用禁止(法第58条)などのより強力な措置を認められる余地もあります。
また、規約に違反してペットを飼育することは不法行為(民法第709条)となりますから、管理組合等は損害賠償の請求もできます。この点、数年間にわたって野鳩の餌付け、飼育をしていた使用借人に対し、おびただしい数の野鳩がマンションに飛来している実害を認定して法第60条に基づき管理組合による使用貸借契約の解除と占有者の退去を認め、合わせて200万円の不法行為に基づく損害賠償を命じた判例(東京地裁平成7年11月21日)、不法行為に基づく損害賠償として弁護士費用の一部の支払いを命じた判例(東京地裁平成6年3月31日)があります。
ペットの飼育を差し止める旨の判決に対して違反者が従わない場合には、不作為義務の強制執行を裁判所に申し立てることになりますが、具体的には間接強制(民事執行法第172条第1項)の方法により違反者にペットの飼育をやめさせるよう強制することになります。
なお、実務上、違反者との間で現在のペット一代限り、または一定期間に限り飼育を認める旨の和解が成立する場合もあります。